レンゲ [ハチミツの花]
<鹿児島県さつま町>
なめらかで上品な甘さと香りを持ち、色は淡い黄色。特に人気が高く、ハチミツの王様と呼ばれるのが「レンゲ」のハチミツです。最近はレンゲ畑が減ったためか、ハチミツの中でも高価になってしまいました。レンゲはマメ科の植物で、根に固有の根粒菌を共生して空気中の窒素を固定します。窒素は植物が根から吸収する最も大切な栄養素。根粒菌が窒素を利用できる形に変えるので、レンゲは稲作などの緑肥として利用されてきましたが、化学肥料の普及などによって、姿を見なくなりました。
なめらかで上品な甘さと香りを持ち、色は淡い黄色。特に人気が高く、ハチミツの王様と呼ばれるのが「レンゲ」のハチミツです。最近はレンゲ畑が減ったためか、ハチミツの中でも高価になってしまいました。レンゲはマメ科の植物で、根に固有の根粒菌を共生して空気中の窒素を固定します。窒素は植物が根から吸収する最も大切な栄養素。根粒菌が窒素を利用できる形に変えるので、レンゲは稲作などの緑肥として利用されてきましたが、化学肥料の普及などによって、姿を見なくなりました。
春、鹿児島で転地養蜂家の光源寺さんに、レンゲのハチミツを搾る様子を見学させていただきました。転地養蜂家とは育てたミツバチと一緒に、ミツ源の開花時期に合わせて各地を移動する養蜂家のこと。現場に到着すると、巣箱を置く杉木立に陽光が差し込み、花のもとへと向かうミツバチたちが幾筋もの銀色の光になって輝いていました。
巣箱を置いた場所の周辺には、レンゲ畑が点在していました。畑の縁にしゃがんでレンゲの花を見やると、ミツバチが忙しげに花から花へと飛びまわっています。ツンと突き出た花茎の頂に、10個ほどの赤紫色の小花が集まって花の穂を形成するレンゲ。一つの花は蝶のような形をしていて、5枚の花びらがあります。雄しべと雌しべを左右から包み込む「竜骨弁」と左右に張り出して足場になる「翼弁」に、ミツバチがちょこんと乗ると体重で下がり、雄しべと雌しべが押し上げられます。そして、奥のミツを吸おうとミツバチが体を突っ込むと、花粉がミツバチのお腹に付く仕組みになっているのです。また、大きな「旗弁」にはミツ標という目印が付いていて、ミツの在り処をミツバチに教えています。
レンゲはミツバチによって授粉すると、花色が濃くなるとか。「もう受粉したから、ここには来なくていいよ」と、ミツバチたちに教えているのかも。翌朝には新しい花が咲くので、またレンゲ畑の色が違うといいます。いい天気なら、養蜂家は夕方に畑の色が変わったことで、今日はミツバチがミツを集めたと、巣箱の中を見なくてもわかるそうです。自然の仕組みは不思議でおもしろい。たまたま通りかかった富山市で、レンゲを見つけたことがありました。休耕田のようですが、田んぼ4、5枚ほどが赤紫色に染まっています。近づいてみると、ミツバチたちがミツ集めに夢中になっていました。春の定番の風景として、レンゲが各地で復活するといいですね。
撮影/'04.4.21
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