ミツバチが好きな花 [ハチミツの花]
日本は四季がハッキリした国で、さまざまな花が至るところで咲いています。花は、授粉をしてもらうために、虫をおびき寄せる手段としてミツを分泌します。だから、虫が一つの花を訪れてミツを吸い、満足してしまったのでは、次の花を訪れなくなり、体に付けた花粉を他の花に授粉しなくなってしまいます。そのため花は、少しのミツしか分泌せず、虫たちが多くの花を訪れるように戦略を立てているのです。
虫たちの中でもミツバチは、たくさん花数があり、糖度の高いミツを出す花が好きです。ミツバチが好んでミツや花粉を集める花は、何種類くらいあるのでしょうか。㈳日本養蜂協会が発行した『日本の蜜源植物』には、500種類近くが紹介されています。そのすべてが、たくさんのミツ、花粉を提供してくれるわけではありませんが、主要ミツ源・有力ミツ源だけでも、37の植物が挙げられています。
花のミツの水分が多いとそれを濃縮する労力がかかるため、ミツバチはできるだけ糖度の高いミツを集めようとします。とはいえ、糖度の高いミツだけを選ぼうとすればムダな動きをすることになります。ミツバチは花ミツを集める採集係と、それを受け取ってハチミツに仕上げる貯蔵係がいるのですが、採集係は花ミツの集めやすさで花を評価し、貯蔵係は糖度の濃さで良いミツかどうか、あるいは採集係の仕事ぶりを評価するのだそうです。
一匹のミツバチが、ある花からミツを集めて巣に戻り、貯蔵係に渡します。このときに貯蔵係が良いミツと判断すれば、糖度の薄いミツを持ち帰った別のハチがいた場合、貯蔵係に受け取ってもらえません。すると、この糖度の薄いミツを持ち帰ったミツバチは自分が探した花には固執しなくなり、良いミツを集めてきたハチにならって、その花が咲く場所に向かうようになります。そうすると、多くのハチが最も良いミツ源に集中して訪れることになり、単一の花から集めたミツでハチミツがつくられます。このとき、ミツバチが飛べる範囲は半径2キロほどなので、養蜂家が巣箱をミツ源近くまで運んであげれば、目的のハチミツをつくることができるのです。
効率主義のミツバチは、近くのミツ源、たくさんのミツを出すミツ源、花の数が多いミツ源を優先的に訪れます。これとは別に、ハチミツの商品価値というのもあるので、養蜂家も人気が高いレンゲやアカシアに合わせてミツバチを増やし、近くに巣箱を運ぶのです。
撮影/いろいろ
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