ジョチュウギク [作物の花]
<広島県尾道市>
今は、窓を締め切ってエアコンを利かせるから、夏の夜に蚊取り線香を焚くこともなくなりました。昔の夏は、今より夏らしかった気がします。夕方になると渦を巻いた緑色の蚊取り線香に火をつけ、寝るときには蚊帳を吊ったりして。蚊帳なんて、知らない人も多いのでしょうね。蚊取り線香の箱には、原料の「ジョチュウギク」が描かれていた気がします。今はみんな輸入になっているようですが、わずかに瀬戸内海の島で栽培されていると何かで読んだ記憶があり、調べるとそれが広島県の因島だとわかりました。
今は、窓を締め切ってエアコンを利かせるから、夏の夜に蚊取り線香を焚くこともなくなりました。昔の夏は、今より夏らしかった気がします。夕方になると渦を巻いた緑色の蚊取り線香に火をつけ、寝るときには蚊帳を吊ったりして。蚊帳なんて、知らない人も多いのでしょうね。蚊取り線香の箱には、原料の「ジョチュウギク」が描かれていた気がします。今はみんな輸入になっているようですが、わずかに瀬戸内海の島で栽培されていると何かで読んだ記憶があり、調べるとそれが広島県の因島だとわかりました。
因島はかつてジョチュウギクの日本一の栽培地であり、満開になると島中が一面白く染まったといいます。でも今は、観光用に細々とつくられているだけとか。ちょうど、しまなみ海道が全通したばかりの年の5月、そのジョチュウギクの畑を探しに瀬戸内海に向かいました。因島フラワーセンターで訊くと、重井というところで栽培されているとのこと。「少し行くと右に入る小道があるから、その先にいっぱい咲いてるよ」。途中、地元の方が親切に教えてくれます。逸る気持ちを抑えつつ、教えられた小道を進むと、前方の段々畑に風に揺れる白い可憐な花。眼下には重井西港。絵画のような風景が広がっていました。
ジョチュウギクの花はマーガレットに似て可憐。ジョチュウギクのミツや花粉には殺虫成分はなく、ミツバチなどの受粉を媒介してくれる虫は心配なく留まれるのだとか。殺虫成分があるのは花の根元の胚珠と呼ばれる膨らんだ部分。大切な雌しべや雄しべを食べられないよう、これらを食べてしまう幼虫などを寄せつけないようにしているのだとか。うまくできているものです。
唯一の場所だからか、すでに花を観賞している人たちが何人かいて、中にはのんびりと絵を描いている人たちも。段々畑の上の方まで行き、写真を撮っていると、「ここからの方がいいアングルで撮れるよ」と、教えてくれる人がいました。港がジョチュウギク越しに望め、確かにベストポジション!! 教えてくれたのは、因島在住の写真家さん。少しガスがかかって遠くの島々は霞んでいたけど、初夏の青い海と空にジョチュウギクの白が映えて、きれいな花景色を見ることができました。写真家さんの個展がちょうど開催中で、島全体がジョチュウギクの白い花で覆われていた頃の写真も堪能。できれば直に、その美しい風景を見たかったなぁ。
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