SSブログ

洋ナシ(1) [くだものの花]

<山形県天童市・東根市>洋ナシ(1)01.jpg 買ってきても、しばらくは食べられない。追熟が必要だからです。そのいびつな外見とは裏腹に、中身は濃厚な肉質と特有な香りがあっておいしく、気品のあるくだもの「ラ・フランス」。山形特産のこの洋ナシは、かつて「みだぐなす」と呼ばれていました。みだぐなすとはつまり、見たくなし、見栄えが悪く見たくないものという意味です。

洋ナシ(1)02.jpg 洋ナシが日本に入って来たのは明治の初め。その後、缶詰加工用として、バートレットという品種が盛んに栽培されるようになります。果樹は、単一品種だけでは実を結びにくいため、違う品種を受粉樹として植え、実を結ぶ確率を高めるのです。バートレットの受粉樹として、細々と植えられていたのが、ラ・フランスでした。とても美味であることは生産者の間では知られていたものの、見かけの悪さもあって受粉樹として陰の存在でしたが、昭和40年代に入ると缶詰よりも生食のフルーツへの需要が高まり、ラ・フランスのおいしさが注目され始めたのです。

洋ナシ(1)05.jpg 天童市と東根市の境に、広大な果樹園が広がっています。明治の初期には松林などの原野で、それを果樹畑に開拓し、次第に拡大していったものとか。サクランボ、リンゴ、モモなどに混じって、ラ・フランスが栽培されており、ゴールデンウイーク前後は、これらの果樹が花盛りを迎えます。が、訪れたのが少し早かったのか、洋ナシらしき花は咲いていません。花が咲いていないと、木だけを見てもどれがラ・フランスやら。ちょうど通りかかった果樹園農家のおばあちゃんに、どれがラ・フランスの木かを訊いてみました。教えてもらったのは、割と太い一本の木。やはり花は咲いてなく、まだ早いようです。

洋ナシ(1)04.jpg洋ナシ(1)03.jpg ゴールデンウイークに再度訪れたときは、花が満開となっていました。山形ではラ・フランスの他に、シルバーベルやバートレット、マルゲリットなど10数種類の洋ナシが栽培されているといいます。品種まではわかりませんが、たぶん「ラ・フランス」ということで、写真を撮りました。花は、その果実の濃厚な味わいとは対照的に、清楚な白い花を咲かせます。ラ・フランスは1864年、フランスのクロード・ブランシュ氏が発見し、そのおいしさから「わが国を代表するにふさわしい果物だ」と賛美したことから、その名がついたといいます。しかし、今ではその本国フランスでは栽培されなくなり、日本でしか味わえない品種になっているとか。おもしろいですね。

撮影/'99.4.30  

banner.blog.with2.net.jpeg  

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

八重ザクラアイ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。