ジャガイモ [野菜の花]
<北海道美瑛町>
夏の北海道を代表する花景色、とくれば、やはり「ラベンダー」でしょうか。ラベンダーも魅力的な花だけど、今回紹介したいのは「ジャガイモ」。かのマリー・アントワネットも髪に飾ったというぐらい、なかなか美しい花なんです。
北海道のジャガイモ畑がさまざまな色で染まるのは、夏の観光シーズンが始まろうとする頃。ジャガイモの花って、近くの畑でも見かけることはあるけど、北海道のそれは広さが桁違いで壮観です。ジャガイモは道内各地でつくられていて、美幌や女満別もお気に入りなのですが、今回はよく訪れている美瑛町のジャガイモ畑を紹介しましょう。
美瑛は「丘のまち」で知られ、写真家の前田真三さんの写真で一躍知られるところとなりました。セブンスターの木やマイルドセブンの丘、ケンとメリーのポプラの木など、CMなどで使われた場所には、人がひっきりなしにやって来ます。大型観光バスで乗りつけ、記念写真を撮ってさっと帰っていく団体もいたりして……。そうした観光スポットもいいけど、人っ子一人見えない丘一面に揺れるジャガイモの花畑こそ、北海道ならではの風景だと思います。空気が少しひんやりした朝早くなら、なおさら北海道の雄大さを実感できますよ。
写真を撮っていると、「ガーッ」というエンジン音。振り向くと、トラクターが丘の斜面の重なりからひょっこり顔を出しました。なーんか、いいですよね、こういうのって。夏の日差しが雲に遮られて和らいだかと思うと、しばらくして突然また肌を指すように照りつけます。濃い緑が放つ夏の匂いも心地よかったりして。
ジャガイモはナス科の多年草で、原産地は標高約4,000mの南米アンデス高原。球を描くように、茎の頂に直径2〜3cmの合弁花を数個ずつ咲かせますが、品種によって花の色が異なるって、知ってましたか? 淡赤紫は「男爵」、「メイクイーン」が淡青紫、白は「農林1号」で、「ワセシロ」が紫だとか。でも、花色は違っても、どれも中央の黄色い葯がアクセントを添え、かわいらしい。広々としたジャガイモ畑を前に、ぼんやり花を眺めていると、「時間が止まったかのよう」「時間がゆっくり動く」という常套句も実感できます。
カレーや肉じゃが、フライポテト、コロッケなど、料理に欠かせないジャガイモですが、畑で咲き誇る花もなかなか魅力的です。人気のラベンダーと花時期が重なるので、合わせて訪れてみてください。
撮影/'97.7.9・'99.7.16
コメント 0