サクランボ [くだものの花]
<山形県寒河江市・新潟県聖籠町>
口の中で甘い果汁が弾けます。今年もおいしくいただきました、初夏のルビーともいわれるサクランボ。サクランボの国内生産量の約7割近くを占めるのが山形県です。導入当初は、缶詰の加工が主体でしたが、新品種「佐藤錦」の誕生で、生食の高級フルーツとしての地位を確立していきました。サクランボは寒さに強く、乾燥地に適した果樹。開花後、45〜60日ほどで果実が熟しますが、5〜6月にかけての雨が大敵。熟したサクランボに雨が当たると、実が割れてしまうんです。サクランボの産地を訪れると、果樹を取り囲むようにパイプが組まれていますが、これは実割れを防ぐための雨よけのハウスです。栽培に手間がかかる分、高価なのかもしれませんね。
朝早く、サクランボの花を撮るために寒河江市郊外の山の斜面に広がるサクランボ園を訪れると、不思議な光景に出逢いました。サクランボの果樹園に、火を焚いた缶が点々と置かれているんです。後で調べてみると、サクランボは花が咲く時期の霜も大敵で、サクランボの開花時期に気温が下がり過ぎると花が咲かなかったり、咲いても実がならなかったりするのだそうです。畑の中で火を焚くのは、そうした遅霜の害を防ぐためのものなんですね。この日の朝も4月末だというのに、吐く息が白いほどでした。バラ科サクラ属のサクランボの花は、葉が出る前に一斉に咲きます。花は白く、サクラに似ています。遠目で見ると、木々に降り積もった雪みたいで、なかなかきれいです。サクランボの花見ができそうですが、地元の人たちは見慣れているのでしょうか。サクラのように観賞用のサクランボを植える、なーんてのもいいかもしれません。
新潟県聖籠町もサクランボの産地。仕事でお世話になったサクランボ農家が、ミツバチを使って授粉をするというので見せてもらいました。訪ねると、ちょうど主力の佐藤錦の花が満開。園内には巣箱が2つ置かれ、ミツバチが花から花へせっせと飛びまわっていました。余談ですが、山形にはサクランボのハチミツがあります。おいしいハチミツです。晴天になり、気温も上がってミツバチの活動も活発になってきました。それにしても、すごい花の数です。木1本にどれくらい花が咲いているのでしょうか。これではミツバチにがんばってもらうしかありません。天候に左右されやすいサクランボですが、ミツバチの活躍で初夏にはたわわに実をつけたようです。
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