カタクリ [山で出逢った花]
<新潟県新潟市・秋田県仙北市> 誰もが知っている有名無実の食材があります。片栗粉──揚げものや中華料理のとろみづけなどに幅広く使われる食材ですが、もともとは自生するカタクリの根茎から取れるでんぷんを使っていたことからこの名があります。しかし、現在はカタクリの自生が減少したため、性質が似ているジャガイモのでんぷんが使われており、名前だけが残ったものです。
新潟市街からほど近くに角田山があります。標高487.1m、「新・花の百名山」にも挙げられる、多くの人に親しまれている山です。カタクリや雪割草の群生で知られているのですが、これまで見たことがありませんでした。本当に、カタクリなんて咲くのかなぁと、ずっと半信半疑だったのですが、今年の春、とうとう目撃しました。
いくつも登山コースがあるのですが、友人から聞いたコースに登ると、突然登山道の両脇にカタクリがびっしり。途中からは登山道にまで進出し、踏まずに歩くのが大変なくらいです。これが1kmほど続くのです。もちろん登山道だけでなく、山の斜面にもずっとカタクリが続きます。花の名山という称号も納得です。カタクリは発芽してから開花までには8年もかかるとか。うつむき加減に咲く愛らしい姿からでしょうか、花言葉は「初恋」。カタクリの名は、球根を割ると片方が栗の実に似ているからとも、古名の傾籠が転訛したものともいわれています。
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